2008年9月29日月曜日

タイの会社法改正(2008年7月1日)

タイ会社法改正(2008年4月)
法律行為の迅速化

By West Advisory Thailand

民商法典の非公開株式会社の運営を司る関連条項(会社法)の一部の改正が国家立法議会で承認されました。改正点は2008年7月1日以降施行となり、主な改正点は以下の通りになります。

1.迅速な設立登記
従来より、タイの会社設立登記手続は複雑で効率性に欠けるとの意見が多々ありました。これに対し、今回の法改正施行後はわずか一日で非公開株式会社の登記(設立)が可能となります。現行法上、登記手続は複数のステップを要しますが、今後はこれを一つのステップに簡略化されます。

2.株主の最低必要人数の減少
現在、非公開株式会社を設立する際、少なくとも7名の発起人が必要ですが今後は3名へと減ります。更に、会社登記後、現行法上少なくとも7名の株主が常時必要ですが、これも今後は最低3名へと減ります。

3.一回の株主総会による特別決議が可能へ
現行法上、株主による特別決議 を成立させるためには二度の連続的な可決が必要であり、第一回目の株主総会では投票の少なくとも75%の賛成、第二回目では少なくとも三分の二以上の賛成が必要となっています。さらに、各々の株主総会開催前に、会議を開く旨を少なくとも7日前に株主へ事前通知し、更には第一回目と第二回目の間には少なくとも14日間の間隔を置く必要もあります。従い、全行程を完了するためには少なくとも21日間を要します。

しかし、会社法改正後は、一回の株主総会で特別決議を成立させることが可能となります。賛成票はやはり75%以上が必要となります。事前通知については、少なくとも14日前の通知が必要であり、この点では従来より厳格化されます。

4.株主総会開催通知の広告を義務化
現行法上、非公開株式会社は株主総会の開催通知を株主へ直接送ることが認められています。しかし、法改訂後、個別の通知義務に加え、新聞による広告も義務化されます。この点においても、従来より制約が加わります。

5.配当決議宣言の個別通知の義務化
現行法上、配当決議宣言は少なくとも二回の新聞広告、または株主本人への直接通知が要求されています。法改正施行後、株主本人への直接通知は義務化され 、選択ではなくなります。

6.迅速な減資および新設合併
減資: 現行法上、会社が減資を提案する場合、少なくとも7回に及ぶ新聞広告が義務化されています。さらに、債権者には3ヵ月の異議申立期間が与えられています。法改正後、広告は1回へ、異議申立期間は1ヵ月へと短縮されます。

新設合併: 減資と同様、法改正後、広告義務は1回となります。異議申立期間については6ヵ月から2ヵ月へと短縮されます。

7.組合の非公開株式会社への変換
現行法上、組合を株式会社へ変換する手続・制度は存在しない為、組合から株式会社へ組織変更する場合、組合を解散し、新会社を設立するしかありませんでした。改正法は、組合の非公開株式会社への変換を可能にする新制度が導入されます。

最後に
上記改正によりタイにおける非公開株式会社の運営がより効率的になり、より投資家フレンドリーになることが期待されます。

上記法改正が施行されても貴社の付属定款が改正後の内容より制限的である場合(厳しい場合)、その内容を遵守し続ける必要があります。もっとも、現行の付属定款の内容を新法に合わせて内容を緩和(効率化)することは原則可能となります。

一方、上記法改正の中には現行法と比べ、より厳格化される点もありますが、法改正後、貴社の付属定款の内容に関わらず、原則、新法を遵守する義務があるため、混乱を避ける意味において会社定款を新法に合わせて厳格化することが勧められます。

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